最新の脂肪移植術
脂肪移植術の歴史は古く100年以上前から行われていましたが治療成績も悪く合併症も多かったのでなかなか標準治療とはなりませんでした。
ですが最近では脂肪生着の原理の解明が進み、器具や手技も改善してきたため、今ではごく一部の領域ですが保険適応として認可されるまでになりました。
現在の主流となる方法を確立したコールマン氏の著書
生着率を高め合併症を減らすにはデータに基づいたポイントがありますので、当院ではそれらエビデンスをふまえた施術をしており、さらに注入の仕方にもこだわっています。
それでは脂肪移植術の流れとそのポイントについてみていきましょう。
脂肪移植術全体の流れ
脂肪の採取
まず始めに脂肪を採取するわけですが、現在のところ採取部位による脂肪生着率の違いはないとされています。一般的に太ももやお腹からとることが多いですが、当院では合併症の少ない太ももから採取します。
脂肪の精製
次に脂肪を精製します。具体的には遠心分離により脂肪以外の余分な成分を除去し質の良い脂肪の含有率を高めます。またフィルターを通すことで脂肪を細かくして生着しやすい性状とします。これには空気に触れないようにしながら素早くおこなうことが重要です。
現在のところ遠心分離は1200gで3分間おこなうのがバランスが良いとされる
脂肪注入
そして最後に精製した脂肪を注射器に入れて注入していきますが、この注入の手技が脂肪移植の中で最も重要であると言われています。いかに少量ずつ均一に注入していくかがコツとなるのですが、イメージとしては1ccを20cm以上の長さに引き延ばして入れていく感覚なのでかなり繊細に注射器を押していかなければなりません。また立体的にも偏りがないようにするため注射器の角度を細かく調整しながら注入していきます。
ひらすら細かくまんべんなく注入していく
以上述べてきた様に当院では色々な点に注意しながら安全で合併症の少ない施術を心がけています。
今後も医療の進歩に伴いエビデンスは変わっていくと予想されますので、これからも情報収集をかかさずアップデートしていきます。
記事執筆医師プロフィール
アリエル美容クリニック 大宮院医師 / 技術指導医
阪野一世
- 福島県立医科大学 卒業
- 福島県立医科大学 形成外科入局
- 群馬県立がんセンター 形成外科
- 帝京大学病院 形成外科
- 静岡県立こども病院 形成外科
- 寿泉堂総合病院 形成外科 医長
- 大手美容外科 院長
- アリエル美容クリニック大宮院