切開リフト
リフトアップは美容外科の中で頻度の高い施術の一つです。
ほうれい線・口角・首のたるみを改善するのが目的ですが、引き上げる方法には糸と切開の二つが挙げられます。
糸はイメージしやすいと思いますのでここでは切開リフトについて解剖を含めた手術方法について見ていきます。
まず最もシンプルなものはたるんだ皮膚を切除して縫い縮めるというものです。メリットは簡便であることですが、皮膚に大きな負担がかかり傷跡が目立ってしまうリスクがあるため現在はあまりおこなわれていません。
そこで皮膚に負担をかけずに引き上げる方法として考えられたのが現在主流となるSMASの操作を軸としたものとなります。
皮膚断面図 Evidence-Based Medicine: Face Lift (Plast.Reconstr. Surg. 139: 151e, 2017.)
SMASとは顔全体の皮下に平面状に存在する強度のある組織のことであり、手術でこのSMASを縫い縮めることで皮膚を土台から引き上げます。この方法は皮膚に引っ張る力がかからないため傷跡が目立ちにくくなります。
またSMASの下層にはリガメントと呼ばれる深部筋膜との連結組織が存在します。このリガメントを切離することで組織の可動性が良くなるため、引き上げ効果が高まり後戻りもしづらくなります。ですがSMASの下層には顔面神経という大事な神経があるため手術の難易度はかなり上がります。
リガメント切離
皮膚とSMASの間でもたるみは起きるため、皮膚とSMASの間を剥離して皮膚支帯を切離し、皮膚をSMASに再固定する場合もあります。
以上述べてきたSMASを操作する術式において、初期は皮膚とSMASの再固定・SMAS下層の剥離・リガメント切離をする方法が行われていましたが、難易度が高く時間もかかるため、現在は簡略化した術式が考えられ主流となりつつあります。
しかしながら引き上げ効果、後戻りのしにくさにおいてはやはり従来のしっかりとした処理を行った方が良いため、当院ではお客様の状態に合わせ時間をかけて手術を行っています。
記事執筆医師プロフィール
アリエル美容クリニック 大宮院医師 / 技術指導医
阪野一世
- 福島県立医科大学 卒業
- 福島県立医科大学 形成外科入局
- 群馬県立がんセンター 形成外科
- 帝京大学病院 形成外科
- 静岡県立こども病院 形成外科
- 寿泉堂総合病院 形成外科 医長
- 大手美容外科 院長
- アリエル美容クリニック大宮院