ケロイド
似た状態を指す言葉に肥厚性瘢痕というものもありますが、これはコラーゲンの塊が傷の長さを超えないもの、となっておりケロイドとは別のものです。
膝や肘によくある擦り傷。肥厚性瘢痕でありケロイドではない。
診察にてこれをケロイドとして申告されることが多々ありますが実際は肥厚性瘢痕であるため、本当のケロイド体質というのは実はかなり稀なものです。
ケロイドの原因については人種や遺伝的要因などが考えられていますがあまり分かっていません。きっかけはニキビなどのごく小さな傷からでも起こってしまいます。
組織が傷つくとその損傷部分を埋めるためにコラーゲンが生成されます。通常は損傷部が埋まり出血などが治まるとコラーゲン生成細胞は消失し生成が止まるのですが、この生成細胞が消えずにいつまでもコラーゲンを作り続ける状態がケロイドとなります。
コラーゲン生成細胞は炎症により増殖しますので、ケロイド予防には炎症を起こさないよう傷に刺激を与えないことが重要です。
つまり傷を縫合する際に可能な限り皮膚に引っ張る力が加わらないようにするかがポイントとなりますが、このような縫合の方法は外科系の医師の間でも意外と知られていません。
どんなに注意してもケロイド発生をゼロには出来ませんが、ポイントを押さえた丁寧な縫合によりその確率を下げることはできます。さらに放射線治療を組み合わせることでより確実性を高めることもあります。
ケロイドの前兆は術後1か月頃、本来であれば赤みが引いてくる時期にも関わらず、逆に赤みが増していくことが特徴です。
その前兆に素早く気付き治療を開始することで少しでも増殖を抑えられるよう、怪しいと思ったらすぐに相談しましょう。
アリエル美容クリニック 大宮院医師 / 技術指導医
阪野一世