しこりニキビを針で潰すのは厳禁!正しい治し方とセルフケアを解説
監修医師プロフィール
アリエル美容クリニック 院長/医師
鈴木桂介
- 帝京大学医学部医学科 卒業
- 順天堂大学練馬病院
- 越谷市立病院
- 都立大塚病院
- 大手美容クリニック 川越院院長
- アリエル美容クリニック開業
最初は小さなニキビだったはずが、症状が悪化すると最終的にはしこりニキビへと変化します。
しこりニキビは触れると痛みがあり、見栄えも悪いため、何とかして治したいと行き着いた先は、針で刺し潰すという選択。
これで治るはずと思いきや処置に失敗し、更に悪化してしまうというケースがあとを絶ちません。
本記事ではしこりニキビの特徴と、発生する原因、針で刺して潰してはいけない理由などについて解説します。針を使わずに治すことが重要です。
しこりニキビとは
しこりニキビとは、小さなニキビが炎症を起こして悪化したもので、触ると痛みがあり、ぽこっと目立つ特徴があります。
ニキビ菌は毛穴の中で増殖し、周りに炎症を起こす物質を作り出します。
初めは小さかったニキビが徐々に酷くなり、赤い盛り上がりのある紅色丘疹や膿のある黄色い膿疱へ変化します。
その状態からさらに炎症が進むと皮下に膿が溜まり硬い芯が出来上がり、しこりニキビになってしまうのです。
しこりニキビの特徴と他のニキビとの違い
ニキビは主に思春期から青年期頃におでこや口周りに現れ、数日から一週間ほどで治りますが、しこりニキビは20代以降の大人にできやすく1ヶ月近く痛みが続く場合があります。
ニキビは大まかに「白ニキビ」「黒ニキビ」「赤ニキビ」の3種類に分けられます。
初期の段階の白ニキビは表面の炎症のため比較的治りやすいです。
白ニキビを放置すると、毛穴が開き酸化して黒ニキビになり、さらに毛穴の奥まで雑菌が繁殖すると患部が赤く腫れ上がった赤ニキビやしこりニキビへと変化することがあるため注意が必要です。
ニキビの4つの段階とそれぞれの症状
ニキビは一般的に4つの段階に分けられます。第一段階は「微小コメド」で、皮脂と角質が毛穴に詰まり始める状態です。
この段階では症状は目立たないものの、触るとざらつきを感じることがあります。第二段階は「白ニキビ」で、詰まった毛穴が閉じた状態です。
白い突起が見られるのが特徴です。第三段階は「黒ニキビ」で、毛穴が開き、詰まった皮脂が酸化して黒くなります。最後の第四段階は「炎症性ニキビ」で、赤みや腫れを伴い、痛みを感じることが多いです。この段階では細菌感染が進行している可能性があり、治療が必要です。
しこりニキビができる原因
次はしこりニキビができる原因について解説します。
原因を知り、しっかりと対策ができれば、しこりニキビの増殖に悩まされる心配はいりません。
ホルモンバランスの乱れ
ニキビができる原因の一つに、ホルモンバランスの乱れが挙げられます。
女性の場合、ホルモンが大きく変化する生理前などに肌荒れを感じる人が多いのではないでしょうか。
男性の場合はテストステロンが高く、元々肌荒れしやすい特徴があります。
睡眠不足や栄養不足、ストレスはホルモンバランスに影響を与えるため、規則正しい生活を送ることが大切です。
不適切なスキンケア
ニキビが悪化するのは、肌を清潔に保てていないことや、乾燥していることが関係しています。
しっかり洗顔をしてメイクを綺麗に落とし、ニキビができにくいノンコメドジェニックな保湿剤で潤いをキープしましょう。
洗顔の仕方を間違えるとより症状が悪化するため、自分の肌タイプに合った洗顔料を正しい方法で使用しましょう。
皮膚組織の損傷
ニキビができるメカニズムは、皮脂の分泌過多により詰まった毛穴の中で、アクネ菌が増殖し毛穴の周りに炎症を起こすことから発生します。
炎症が酷くなると毛穴の壁を破壊して皮下に膿腫(膿の溜まり)や硬結(硬いしこり)ができます。
初期のニキビを放っておくと、皮膚のより深い組織を傷つけて進行していくため、早い段階でケアをしましょう。
しこりニキビを針で刺して潰してはいけない理由
しこりニキビを針で刺して潰すことはNGです。
中にはあらゆるニキビに対して針の使用を推奨する人もいることは事実ですが、リスクと常に隣り合わせです。
細菌感染による悪化のリスク
ニキビができると気になって触ってしまう、早く治したいからと針で刺して潰してしまう人もいます。
潰した部分から細菌が入り込んで感染を起こし、炎症が酷くなったり化膿したりする場合があります。
ニキビは触らないのが鉄則です。
無意識に触ってしまう人は爪を短く切り、またニキビに髪の毛が当たるようなヘアスタイルも控えるようにして、細菌が入らないよう注意しましょう。
傷跡や色素沈着の可能性
しこりニキビは毛穴の奥深くの炎症のため治るのに時間がかかることが特徴の一つです。
針で潰してしまうと傷がついて炎症がさらに長引くことがあります。
炎症から肌を守ろうとメラニンが働くとニキビ跡になり、炎症が肌組織を破壊し再生がうまくいかないと凸凹した状態になります。
長引いて重症になる程跡が残りやすくなるため、ニキビは潰さないでおきましょう。
再発しやすくなる
ニキビを早く治すためには膿をしっかり排出する必要がありますが、自己流ではわずかに残ってしまうことも多く、再発するリスクが付きまといます。
毛穴を刺激するため、皮膚が傷ついて炎症を起こし、さらに毛穴が詰まって膿が溜まるという悪循環に陥ります。
どうしても気になる場合は医療機関で専門の治療を受けるのが、安全な方法です。
しこりニキビの正しい治し方
ここからは針を使わずにしこりニキビを治す方法について解説します。
人によっては難しい項目もあるかもしれませんが、できることから見直すことが大切です。
皮膚科や美容皮膚科での治療
ニキビ治療に効果的な方法の一つは、皮膚科や美容皮膚科で治療を受けることです。
しこりを取り除く切開手術やレーザー治療、ステロイド剤を直接注射する治療など、多くの方法があり、肌の質やしこりニキビの状態によって何が最適な治療になるかは異なります。
塗り薬・内服薬での治療
薬の治療には塗り薬と内服薬があり、症状や疾患に応じて使い分けられます。塗り薬は局所的な効果を持ち、副作用が少なく、湿疹やニキビ、筋肉痛などに適しています。内服薬は全身に効果を発揮し、感染症や慢性疾患の治療に有効です。塗り薬は直接患部に塗布し、内服薬は口から服用します。どちらも医師の指示に従って正しく使用することが重要です。
切開手術やレーザー治療
ニキビ治療には、切開手術とレーザー治療があります。切開手術は、深く埋まったニキビや膿を持つ大きなニキビに対して有効です。外科医がメスで皮膚を切開し、中の膿や感染物質を取り除きます。これにより、炎症が軽減し、治癒が促進されますが、回復には時間がかかり、感染リスクもあります。
一方、レーザー治療は、ニキビ跡や軽度から中度のニキビに適しています。レーザー光を使って皮膚の深層に働きかけ、皮脂腺の活動を抑制し、炎症を減少させます。レーザー治療は、出血が少なく、回復が速いのが特徴です。また、肌の再生を促し、ニキビ跡を目立たなくする効果もあります。
生活習慣の見直しとセルフケア
寝不足や暴飲暴食、ストレスなどで規則正しい生活習慣が送れないでいると、自律神経がうまく働かずホルモンバランスが乱れて男性ホルモンが増え、ニキビの原因になります。
自分の生活習慣を振り返り、思い当たる悪習慣を改善していきましょう。
適切なスキンケアの実践
ニキビ治療には、適切なスキンケアが欠かせません。まず、洗顔は1日2回、優しく行い、過度な洗顔は避けましょう。毛穴を詰まらせないために、ノンコメドジェニックな製品を選びます。保湿も重要で、油分を控えた保湿剤を使うと効果的です。また、手で顔を触らないよう心がけ、日常的な清潔を保つことが大切です。バランスの取れた食事と十分な睡眠もニキビ改善に寄与します。
バランスの取れた食事と十分な睡眠
ニキビ治療には、バランスの取れた食事と十分な睡眠が重要です。食事では、ビタミンA、C、Eを豊富に含む野菜や果物、抗酸化作用のある食品を積極的に摂取しましょう。過剰な糖分や脂肪分は皮脂分泌を増やすため控えることが望ましいです。また、適切な水分補給も肌の健康に寄与します。十分な睡眠は、肌の再生を促進し、ストレスを軽減する効果があります。毎晩7-8時間の質の良い睡眠を確保し、規則正しい生活を心がけましょう。
治療とセルフケアの併用が効果的
ニキビ治療では、専門的な治療とセルフケアの併用が効果的です。まず、皮膚科医による治療が重要です。医師は、患者の肌の状態に応じて、適切な薬用クリームや内服薬を処方します。
これにより、炎症を抑え、ニキビの原因菌を減少させることができます。
また、セルフケアも欠かせません。毎日の洗顔では、肌に優しい洗顔料を使い、過度な摩擦を避けましょう。
ノンコメドジェニックの保湿剤を使って肌のバリア機能を保ちます。また、バランスの取れた食事と十分な睡眠が、肌の健康を支えます。野菜や果物を多く摂り、ビタミンやミネラルを補給し、過剰な糖分や脂肪分は控えましょう。
毎晩7-8時間の質の良い睡眠を確保し、ストレスを軽減することも重要です。
しこりニキビと間違いやすい粉瘤との違い
しこりニキビと粉瘤は見た目が似ているため混同されやすいですが、それぞれ異なる特徴があります。しこりニキビは皮脂腺の閉塞や感染によって皮膚の深層で炎症を起こすことが原因です。触ると硬く痛みがあり、赤みを帯びることが多いです。
適切な治療が必要で、皮膚科医の指導のもとで内服薬や外用薬が使用されます。
一方、粉瘤は皮膚の下にできる嚢胞で、皮膚の一部が袋状に変形し、その中に角質や皮脂が溜まることで形成されます。粉瘤はしこりのように感じられますが、中央に黒点が見られることがあり、痛みは通常ありません。
粉瘤は感染すると赤く腫れ、痛みを伴うことがありますが、基本的には良性の腫瘍です。
粉瘤の特徴と自然治癒の難しさ
粉瘤は、皮膚の下にできる良性の嚢胞で、しばしば脂肪や皮膚の角質が溜まったものです。初期は無症状であることが多いですが、感染すると赤く腫れ、痛みを伴います。自然治癒することは稀で、多くの場合、外科的切除が必要です。放置すると再発や感染のリスクが高まるため、早期の診断と適切な治療が重要です。
しこりニキビと粉瘤の見分け方
しこりニキビと粉瘤は見た目が似ているため、見分けるのが難しいことがあります。しこりニキビは、皮脂腺が詰まり、炎症を起こすことで発生し、触ると硬く痛みを伴います。赤みがあり、時には膿を持つこともあります。一方、粉瘤は皮膚の下にできる良性の嚢胞で、内部に脂肪や皮膚の角質が溜まります。粉瘤は通常無痛ですが、感染すると赤く腫れ、痛みを伴います。しこりニキビは数週間で自然に治癒することがありますが、粉瘤は自然に治ることが少なく、外科的な処置が必要になることが多いです。
しこりニキビを悪化させないためのポイント
しこりニキビを悪化させてしまうと、どんどん治るのが遅くなります。
また、消えにくいニキビ跡が発生する原因にもなり得ます。
紹介するしこりニキビを悪化させないためのポイントを確認して、普段の生活に取り入れましょう。
無理に潰さない
ニキビは無理に潰さず、正しいスキンケアや適切な治療を行うことが大切です。ニキビを潰すと跡が残りやすく、炎症が悪化するリスクがあるため、潰さずに治療することが最良の対策です。
必要に応じて皮膚科医に相談し、適切な治療を受けましょう。
清潔な状態を保つ
ニキビを防ぐためには、日々の洗顔やスキンケアを通じて肌を清潔に保つことが最も重要です。
また、清潔な環境を維持し、手で顔を触らないようにすることも効果的な予防策です。
食生活や睡眠、ストレス管理にも配慮し、内外からのケアでニキビを予防・改善しましょう。
刺激の少ないスキンケア製品を使用する
ニキビ肌には、刺激の少ないスキンケア製品を選び、優しいケアを行うことが必要です。
ノンコメドジェニック処方の低刺激性製品や、保湿成分を含むスキンケアアイテムを使用することで、肌に負担をかけずにニキビをケアし、健康的な肌を保つことができます。
まとめ:しこりニキビは針で潰さず、専門医の治療とセルフケアで改善しよう
しこりニキビは症状が悪化した最後の段階なので、自分の力だけで改善するのは難しい場合もあります。
自力で治すことが難しいため、必要に駆られて針を使用する人もいますが、さらに症状の悪化を招くリスクがあるのです。
専門の医療機関であれば、最新の機器を用いて、最も効果的なアプローチを行ってくれるでしょう。
アリエル美容クリニックではしこりニキビの施術に対しての確かな経験・実績があります。
お客様一人一人の肌の質や症状、希望に合わせ、最も効果が見込める治療を行います。
しこりニキビでお困りであれば、お気軽にお問い合わせください。